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FIREに必要な金額はいくら?生活費・年代別の早見表

「FIREするには結局いくら必要なの?」という疑問に答えます。必要額は「年間支出 × 25倍」を基本に、年代やライフスタイルで変わります。計算式の意味と、生活費・年代別の早見表で、あなたのケースの目安をつかみましょう。

1.必要額の基本式「年間支出 × 25倍」

FIREに必要な資産の目安は、次のシンプルな式で計算できます。

必要資産 = 年間支出 × 25

これは4%ルールの裏返しです。資産の4%で1年の生活費をまかなうということは、必要資産は年間支出の「1 ÷ 0.04 = 25倍」になる、という関係です。

たとえば年間支出が300万円なら、300万円 × 25 = 7,500万円が一つの目安になります。月25万円で暮らすなら、年300万円ですから同じ計算です。

2.生活費別・必要資産の早見表

毎月の生活費から、4%ルールに基づく必要資産の目安をまとめました。

毎月の生活費年間支出必要資産(25倍)取り崩し率3.5%の場合(約28.6倍)
15万円180万円4,500万円約5,140万円
20万円240万円6,000万円約6,860万円
25万円300万円7,500万円約8,570万円
30万円360万円9,000万円約1億290万円
40万円480万円1億2,000万円約1億3,710万円

右端は、より安全側に倒した取り崩し率3.5%(必要資産は約28.6倍)の場合です。日本では税金や為替の影響があるため、4%より保守的に見積もる考え方も有力です。

生活費を固定した個別ページでも試算できます:年間生活費240万円の必要資産300万円360万円(ほかの条件は条件別シミュレーション一覧)。

3.生活費を正しく見積もる3つのステップ

25倍ルールの出発点は「年間支出」です。ここがずれると、誤差は25倍に拡大されます。月2万円の見積もり漏れは、年24万円 × 25 = 600万円もの必要資産の差になります。次の3ステップで、漏れのない数字をつくりましょう。

ステップ1:固定費を洗い出す

家賃(持ち家なら管理費・修繕積立金・固定資産税)、水道光熱費、通信費、保険料、サブスクリプションなど、毎月ほぼ一定で出ていくお金です。通帳とクレジットカードの明細を直近1年分さかのぼれば、ほぼ機械的に拾えます。解約し忘れているサブスクが見つかることも多く、見積もりと節約を同時に進められます。

ステップ2:変動費は複数月の平均でつかむ

食費・日用品・交際費・趣味・被服費など、月によって揺れる支出です。たまたま出費の少なかった1か月だけを見て「これが自分の生活費」と思い込むのが典型的な失敗です。最低でも直近3か月、できれば6か月の平均を取りましょう。

ステップ3:年単位の「特別費」を月割りで足す

もっとも漏れやすいのがここです。毎月は発生しないものの、年単位ではほぼ確実に発生する支出を洗い出し、12で割って月額に上乗せします。たとえば次のように置いてみます。

特別費の例年間の想定額(記入例)
家電・スマホ・家具の買い替え10万円
冠婚葬祭・お祝い・帰省5万円
医療費・歯科・健康診断5万円
旅行・レジャー10万円
合計30万円(月割り2.5万円)

この記入例では特別費だけで年30万円、月割りで2.5万円になります。「月の生活費は25万円」と思っていた人の実際の年間支出は、25万円 × 12 + 30万円 = 330万円。必要資産は330万円 × 25 = 8,250万円となり、「300万円 × 25 = 7,500万円」と比べて750万円もの差が生まれます。

「月の生活費 × 12」が過小評価になりがちな最大の理由は、この特別費の漏れです。家計簿アプリが示す「月平均」にも、年1回・数年に1回の支出は反映されにくい点に注意しましょう。

4.税金・社会保険を織り込んだ「実効必要額」

早見表の生活費は「手取りで使える金額」を想定しています。ところが課税口座(特定口座など)の資産を売却して取り崩すと、利益部分に20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)の税金がかかります。さらに退職後は国民健康保険と国民年金に自分で加入し、保険料を納める必要があります。つまり、額面の取り崩し額は生活費そのものより多めに見ておかなければなりません。

計算例:手取り300万円を確保するには

単身でFIREし、年間生活費300万円(手取り)を課税口座の取り崩しでまかなうケースの簡略計算(各種控除は考慮しない)を見てみます。

  1. 国民年金保険料を上乗せ:月17,510円(2025年度)× 12か月 = 年約21万円。保険料の納付は60歳まで続くため、手取りで年約321万円が必要になります。
  2. 譲渡益課税を逆算:取り崩す資産の含み益の割合を4割とすると、100万円の売却につき利益40万円 × 20.315% = 約8.1万円が課税され、手取りは約91.9万円です。
  3. 額面の取り崩し額:手取り321万円を確保するには、321万円 ÷ 0.919 ≒ 約349万円を毎年売却する必要があります。

これを25倍ルールに当てはめると、349万円 × 25 = 約8,700万円。「300万円 × 25 = 7,500万円」という素朴な計算より1,200万円以上多くなる計算です。このほかに国民健康保険料(所得や自治体により変動)も別途かかります。

新NISA(非課税保有限度額1,800万円)の枠内で運用した分は売却益が非課税のため、この税金分の上乗せは不要です。どの口座から先に取り崩すかは新NISAの出口戦略、制度の全体像はFIRE後の税金と社会保険料で詳しく解説しています。

5.年代でも必要額は変わる

同じ生活費でも、何歳でリタイアするかによって必要額の考え方は変わります。リタイアが早いほど、資産を取り崩す期間が長くなるためです。

  • 30代でのFIRE:取り崩し期間が50〜60年と非常に長い。4%でも資産が尽きるリスクが上がるため、取り崩し率を3〜3.5%に抑える、または労働収入を一部残すサイドFIREが現実的。
  • 40〜50代でのFIRE:期間は30〜40年程度。4%ルールが想定する期間に近く、目安として使いやすい。
  • 50代後半以降:公的年金の受給開始が近く、年金で生活費の一部をまかなえるため、必要資産は早見表より少なくて済むことが多い。

年金を考慮すると必要額は大きく下がります。たとえば年金で月15万円受け取れるなら、月25万円の生活でも自分で用意するのは月10万円分(年120万円 × 25 = 3,000万円)が目安になります。もう一歩踏み込んだ計算は、次の第6章で行います。

年代を固定した詳しい試算は30代40代50代60代でFIREするにはの各ページをご覧ください。

6.年金で必要額はどれだけ下がるか

必要額の見積もりで見落とされがちな最大のプラス要素が公的年金です。年金の受給が始まると、それ以降は生活費の一部を年金がまかなうため、資産から取り崩す額が減ります。

単純計算:年金月10万円で取り崩しは年120万円減る

たとえば65歳から月10万円の年金を受け取るなら、65歳以降の取り崩しは年120万円少なくて済みます。月25万円(年300万円)の生活なら、65歳以降に資産から出すのは年180万円だけです。これを使うと、必要額を「年金開始前」と「年金開始後」の2つの期間に分けて概算できます。45歳でFIREし、95歳まで生きると仮定した、運用を考えない単純合計で比べてみましょう。

期間年間の取り崩し小計
45〜64歳(20年間・年金なし)300万円6,000万円
65〜94歳(30年間・年金月10万円)180万円5,400万円
合計1億1,400万円

年金がなければ50年 × 300万円 = 1億5,000万円ですから、月10万円の年金だけで、単純計算でも3,600万円(120万円 × 30年)必要額が下がることになります。実際には運用しながら取り崩すため必要資産はこの単純合計よりずっと少なくなりますが、「年金の有無は数千万円単位で効く」という規模感は変わりません。

注意したいのは、早期リタイアで厚生年金の加入期間が短くなると、将来の受給額そのものが減ることです。ねんきん定期便・ねんきんネットで自分の見込額を確認したうえで、減り方の仕組みはFIREしたら年金はいくら減る?で押さえておきましょう。

7.早見表をうのみにしない3つの注意点

  • 税金・社会保険料:第4章で見たとおり、額面と手取りは違います。課税口座の含み益が大きい人ほど、生活費への上乗せが必要です(詳しくはFIRE後の税金と社会保険料)。
  • インフレ:物価が上がれば必要な生活費も増えます。25倍はあくまで現在の支出ベースの目安です。
  • 暴落のタイミング:リタイア直後に暴落が来ると、平均リターンが同じでも資産が尽きやすくなります(シーケンスリスク)。

8.自分の数字で確かめる

早見表は「ざっくりの目安」です。実際には、年金・退職金・労働収入・取り崩し方・運用利回りなど、人によって条件が大きく異なります。これらを加味した精緻な見積もりには、シミュレーションが有効です。

当サイトのFIREシミュレーターなら、あなたの資産額・生活費・年金・運用条件を入力するだけで、資産が何歳までもつかを確率(生存率)で確認できます。早見表の目安が自分のケースで本当に十分かを、ぜひ確かめてみてください。

この記事の執筆者:yamano(個人投資家・投資歴28年)
自身のFIRE計画を検証するために当サイトのシミュレーターを開発・運営。前提を明示し、根拠を確かめながら試算できる情報提供を方針としています。くわしくは運営者情報をご覧ください。

最終更新日:2026年6月12日