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資産寿命とは?計算方法と延ばし方|お金は何歳まで持つか

老後やFIRE後にいちばん不安なのは「お金が自分より先に尽きないか」ということ。これを表すのが「資産寿命」です。資産寿命が何で決まり、どうすれば延ばせるのかを整理します。

1.資産寿命とは

資産寿命とは、保有する資産を取り崩しながら生活したとき、「資産が尽きるまでの期間(または尽きる年齢)」のことです。たとえば「65歳でリタイアし、資産が95歳まで持つ」なら、資産寿命は30年・尽きる年齢は95歳ということになります。

人の寿命(健康寿命・平均寿命)よりも資産寿命が長ければ「一生お金に困らない」状態、逆に資産寿命が短ければ「途中でお金が尽きる」リスクがあることになります。FIREや老後資金設計のゴールは、資産寿命を自分の寿命より長くすることだと言えます。

この考え方はFIREに限らず、定年後の老後資金の計画にもそのまま使えます。「老後2,000万円」のような一般論ではなく、自分の資産・生活費・年金の条件で「何歳までもつか」を確かめることが、老後資金シミュレーションの出発点です。必要額の計算式と年金別の早見表は老後資金はいくら必要?で詳しく検証しています。

2.資産寿命を決める3つの要素

要素資産寿命への影響
取崩率(毎年いくら使うか)高いほど資産寿命は短くなる。最も影響が大きい。
運用利回り(どれだけ増えるか)高いほど寿命は延びるが、変動(リスク)も伴う。
インフレ(物価上昇)物価が上がると必要な取り崩し額が増え、実質的に寿命を縮める。

特に効くのが取崩率です。年間生活費が資産に対して何%かで、資産寿命は大きく変わります。あわせて、運用益や配当には日本では約20%課税されるため、税金・社会保険料を考慮した手取りベースで考えることが大切です。

3.資産額×取り崩し額の資産寿命マトリクス

まず、運用をいっさい考えない「貯金を取り崩すだけ」の単純計算で、資産寿命の土台をつかみましょう。計算式は資産額 ÷ 年間取り崩し額です。たとえば資産3,000万円を月20万円(年240万円)で取り崩すと、3,000万円 ÷ 240万円 = 12.5年でゼロになります。代表的な組み合わせを一覧にすると次のとおりです。

資産額\取り崩し月15万円月20万円月25万円月30万円
3,000万円約16.7年12.5年10年約8.3年
5,000万円約27.8年約20.8年約16.7年約13.9年
8,000万円約44.4年約33.3年約26.7年約22.2年

※運用なし・インフレなしの単純計算。年間取り崩し額は月額 × 12か月(180万円・240万円・300万円・360万円)で計算しています。

この表からは2つのことが読み取れます。第一に、同じ資産額でも取り崩し額しだいで資産寿命は2倍変わること(3,000万円の場合、月15万円なら約16.7年、月30万円なら約8.3年)。第二に、たとえば65歳から90歳までの25年間を貯金だけで乗り切るには、月20万円の取り崩しでも5,000万円では届かないことです(約20.8年)。運用の力を借りない前提では、必要な資産はかなり大きくなります。

4.運用すると資産寿命はどれだけ延びるか

同じ取り崩し額でも、残りの資産を運用しながら取り崩すと資産寿命は大きく延びます。「資産3,000万円・月15万円(年180万円)」のケースについて、毎年一定の利回りで増え続けると仮定した単純化モデル(年初に運用益が付き、年末に取り崩す)で比べてみます。

想定利回り(毎年一定)資産寿命
運用なし(0%)約16.7年
年2%約20.5年
年4%約28年
年6%理論上尽きない

年4%で運用できれば、資産寿命は約16.7年から約28年へと11年以上延びます。年6%なら運用益(3,000万円 × 6% = 180万円)が取り崩し額とちょうど釣り合うため、このモデルの上では元本が減らず、資産は尽きません。

ただし、この計算には大きな落とし穴があります。現実の相場は「毎年きっちり4%」では増えず、暴落と回復を繰り返します。平均利回りが同じでも、リタイア直後に暴落が来るか、終盤に来るかで資産寿命は何年も変わります(シーケンスリスク)。固定利回りの計算は数ある将来のうちの1本にすぎないと考え、リターンの順序を変えた多数のシナリオを試すモンテカルロシミュレーションで、結果の「幅」まで確かめるのが安全です。

5.4%ルールと資産寿命の関係

有名な4%ルールは、「資産の4%を毎年取り崩せば、過去データ上は約30年間は高い確率で資産が尽きない」という経験則です。言いかえると、取崩率4%なら資産寿命はおおむね30年が目安ということです。

ただしこれは米国の過去データに基づく目安であり、40代でリタイアして運用期間が40〜50年に及ぶ場合や、暴落の順序が悪い場合には、資産寿命が想定より短くなることもあります。

6.「平均」ではなく「確率」で見る

資産寿命は「平均利回り○%なら何年」と一本の線で決まるものではありません。相場の振れ方によって、同じ条件でも資産寿命は長くも短くもなります。そこで有効なのが、暴落の順序が異なる将来を多数試算するモンテカルロシミュレーションです。

当サイトのFIREシミュレーターでは、過去37年(1988〜2024年)のMSCI ACWI(全世界株・円建て)の年次リターン実績などをもとに10,000通りの将来を生成し、「資産が一生尽きない確率(生存率)」や「破産した場合に資産が尽きる年(枯渇年の中央値)」を表示します。これにより、資産寿命を1つの数字ではなく確率の幅で把握できます。

7.インフレの影響——20年で生活費は約1.5倍

資産寿命の計算で見落とされがちなのがインフレ(物価上昇)です。年2%のインフレが続くと、同じ暮らしを維持するための生活費は20年後に約1.49倍(1.02の20乗 ≒ 1.486)、30年後には約1.81倍になります。いま月20万円の生活費なら、20年後には月約29.7万円、30年後には月約36.2万円を出さないと同じ暮らしができない計算です。

つまり第3章の「資産8,000万円・月20万円で約33.3年」といった単純計算は、インフレ下では実際にはもっと短くなります。これを補正する基本は実質ベースで考えること、すなわち運用利回りからインフレ率を引いた利回りで資産寿命を見積もることです。名目で年4%増えていても、年2%のインフレ下では実質的には約2%でしか増えていません。

取り崩し額を毎年インフレ分だけ増やすのか、定額のままにするのかでも資産寿命は大きく変わります。定額のままなら暮らしは実質的に少しずつ切り詰まり、インフレに連動させれば資産の減りは速くなります。取り崩し方ごとの性質の違いは定額取り崩しと定率取り崩しの比較で整理しています。

8.資産寿命を延ばす5つのレバー

最後に、資産寿命を延ばす打ち手を「効き目の目安」つきで比べます。どれか1つで解決するものではなく、組み合わせて使うものです。

レバーやること効き目の目安
1. 取り崩し額を下げる固定費を中心に生活費を見直す。資産5,000万円で月25万円→20万円なら約16.7年→約20.8年(運用なし単純計算で約4年延長)
2. 収入を足すサイドFIREで月数万円でも働いて稼ぐ。月5万円の収入は、取り崩しを月5万円減らすのと同じ効果
3. 現金クッションを持つ生活費の1〜3年分を現金で確保し、暴落時は現金から使う(現金クッション。暴落直後の安値売りを避け、シーケンスリスクを和らげる
4. 取り崩し方を工夫する定率法・ガードレール法を取り入れる(取り崩し戦略。定率なら理論上資産はゼロにならない。ただし生活費が相場で変動する
5. 年金の受け取り方を見直す繰下げ受給などで晩年の受給月額を増やす(FIREと年金。年金開始後の取り崩し不足分を終身で小さくできる

即効性と確実性が高いのは1と2です。取り崩しを月1万円減らす(または月1万円稼ぐ)だけでも年12万円。運用なしの単純計算でも、資産3,000万円・月20万円のケースが月19万円になれば、資産寿命は12.5年から約13.2年に延びます。3〜5は平均値を変えるより「運の悪いシナリオ」を改善する性格が強く、効果の出方は条件しだいなので、シミュレーションで確かめるのが確実です。

あなたの資産は何歳まで持つでしょうか? FIREシミュレーターに初期資産と取り崩し額を入力すれば、確率つきの資産寿命を数秒で確認できます(登録不要・無料)。

条件を固定した個別ページでも試算できます:資産3,000万円は何歳までもつ?5,000万円月15万円取り崩し月20万円条件別シミュレーション一覧)。

この記事の執筆者:yamano(個人投資家・投資歴28年)
自身のFIRE計画を検証するために当サイトのシミュレーターを開発・運営。前提を明示し、根拠を確かめながら試算できる情報提供を方針としています。くわしくは運営者情報をご覧ください。

最終更新日:2026年6月12日